佐藤ナオキ「問題解決ラボ」を読んでみて
佐藤ナオキさんに興味を持ったのは、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見てから。 世界で活躍している若手デザイナーで、ルイ・ヴィトン、コカ・コーラ、エルメスなど世界的な企業とやり取りをしており、デザインの領域はクリップ1つから建築物や駅前広場とかなり広範囲。常に300以上のプロジェクトを同時進行しているというのだから驚愕。3つくらいの異なるタスクを持つだけでアウトオブメモリーな僕には想像できない。
書評の前に..
僕はWeb制作会社に務めるエンジニアです。 お客さんの要望をまとめ、要望を叶えるための設計をして、納期までにWebサイトに機能を更新していくような仕事をしています。 エンジニアという職業ですが、楽しい時間はお客さんの要望を導き出して、自分の意見を提案できたとき。 正直、プログラミングや技術といった類は二の次でイイと思っています。 技術は手段だと思ってますし、その道のプロフェッショナルになりたいかと言われればそんなに..な私なので。 そんなこと思ってる時点でエンジニア向いてないかもと考えちゃったり、Webディレクターに憧れたり。
ブレークスルーは「職人型」ではなく「発想型」から生まれる
そんな僕がこの本を読んでグッときたのは、第5章の10項 ブレークスルーは「職人型」ではなく「発想型」から生まれるです。
今後、国内にもっと「発想型」のデザイン事務所が増え、彼ら(クライアント)の能力を活かせるようなプロジェクトが増えていけば、日の丸メーカー復活の足がかりとなるのかもしれない。 第5章 デザイン目線で考えると、見えない「価値」が見えてくる P.235
佐藤ナオキさん曰く、デザイン事務所には2つのタイプがあるそうです。
- 職人型。クライアントが作りたいものがはっきりしている場合、それをドンピシャで具現化する技術者。
- 発想型。クライアントの頭の中の漠然としたイメージを基に、企画開発から製造、販売、PR広告宣伝に至るまでトータルで俯瞰し、コンセプトを提供していくもの。
"Web"がつく時点でWeb制作会社は「職人型」かなと思っています。
しかし、お客さんの要望通りに実装して終わりなエンジニアだけではつまらないなと思ってますし、自分はそうなりたくないなと。
例えば、
・ 会員登録のデザイン変更という要件に対して、登録動線のフローを短縮して登録率UPを計れないか。
・ コーポレートサイトのリニューアルという案件に対して、既存のコーポレートサイトを活かすことで工数を削減して、
名刺や封筒のデザインといった異なることに工数を割くことでブランディング強化を計れないか。
P.4で紹介されているエステーの「自動でシュパッと消臭プラグ」のリニューアル案件では、外装だけをキレイに整えてほしいと依頼されたそうです。
しかし、外装だけでなく、内部の構成要素の簡略化や配置換えを実現し、約25%のコンパクト化に成功し、安く製造できるようになった上に売上も半年で前年比2倍に伸びたそうです。
エンジニアだからプログラミング技術を磨き、Webに身を置くのだからSEOやSEMといったマーケティング知識もつけていきたいですが、
エンジニアのみんながみんな「職人型」になる必要もないなと、少し気が楽になれました。
お客さんの要件の根本を今よりもっとさらけ出して、最適な手段を提供するような取り組みができたら自分はもっと仕事が好きになれると思うし、自分の存在価値も高められるのかなとそんな風に感じました。